2018年2月18日東京都昭島市で母親が娘(21)を殺害した事件。母親である清水悦子(63)に自閉症スペクトラム症があったとされている。
娘は大学中退後アルバイトをしても長く続かなかったが、専門学校への進学を決める。そんな中、娘が「私、続くのかな」と不安を述べたことから、母親は娘を殺害した。
下記引用は判決文より。
【罪となるべき事実】
被告人は,娘であるB(以下「被害者」という。)が,大学中退後アルバイトをしても長く続かず,将来が定まらずにいたため,かねてからその将来に対する不安を募らせていたところ,被害者が専門学校への進学を希望したことから,被告人もこれを最後の希望であると期待し,経済的に余裕がない中で入学金の振込みをするなどその準備を進めた。そのような中,被告人は,平成30年2月10日午後2時頃,東京都昭島市α×丁目×番×号a住宅×号棟×××号室被告人方 において,被害者(当時21歳)と二人でいた際に,被害者が「私,続くのかな」と述べたことから,被害者の将来に強い不安を感じ,失望感等の感情のまま に,不安の原因である被害者を殺害しようと考え,うつ伏せで寝転がっていた被害者に対し,殺意をもって,その頸部にネクタイを巻いて絞め付け,よって,その頃,同所において,被害者を頸部圧迫による窒息により死亡させた。
医師の証言によると自閉症スペクトラム症が犯行に大きく影響していたとのこと。
C医師の証言によれば,被告人は広汎性発達障害にり患しており,同障害の特徴であるこだわりの強さや刺激等に対する動揺のし易さ等から,本件当日の被害者の言葉を聞いた際に,被害者自身や被告人の夫と話し合うなどの臨機応変な対応をすることができず,視野が狭窄化して被害者の言葉に反応し,強い不安や失望感等を感じて衝動的,短絡的に被害者の殺害に及ん だと認められる。被告人が長年にわたり被害者のためを思ってその養育等を続けてきたことや,本件当時も両者は仲良く生活を送っていたことも踏まえると,本件犯行動機の形成の過程や実行の過程には,被告人の広汎性発達障害が相当程度影響を与えた面があるといわざるを得ない。
確かに、自閉症スペクトラム症がなければ、理解が困難な事例である。経済的に苦しかったとはいえ、将来への不安を口走っただけで、まさか母親に殺されるとは思いもしなかっただろう。