また、元埼玉県警捜査一課刑事・佐々木成三氏は「統計上、少年犯罪は減少傾向で凶悪犯罪も増えているわけでないが、“質”がおかしくなっているのが問題だ」と述べ、昨今の少年犯罪の質の変化について言及。「凶悪犯罪の質がぶれているような事件が増えてしまったというのが報道で明らかになっている。実際、僕も動機のない殺人、動機が歪んだ殺人を捜査したときに、周りの関係者に聞き込みをすると『こういうことをする少年ではなかった』という話になる。そうなると刑事は、この子の本性・本質を知る機会が周りの大人が無かったんだと感じる。事件を捜査すると、必ず前兆事案があって、この前兆事案は小さな異変の場合もある。それを我々大人や周りがどれくらい気づいてキャッチアップしていく、地域コミュニティというのも必要だ」との認識を示した。
「(少年院は)自由な勉強ができない。与えられる本というのが限られた本で、結局、少年院が求めているのは“作文でどれだけいいことを書くか”、“本当に自分が罪と向き合っているように見せかければいい”ということ。少年院を攻略するのは非常に簡単なんです。今だから言いますけども。(当時は)とにかく1日でも早く元の生活に戻りたい。(退院したら)悪い仲間たちと楽しく暮らせることを考えていた。少年院に何を求めますかと言われたら、学ばせてもらいたかった」
また「攻略するのは簡単」という点については「少年院は評価によって累進していく。一番上の級になれば、早く出ていける。つまり、先生から良い評価をもらえれば早く出られるということで、極力先生に好かれるような、他人の不正を密告したりということが横行していた」と補足し、“更生や教育”といった少年院本来の役割とは異なる内部の実態に言及。久里浜特別少年院時代の同僚が別の地元の4人と強盗を起こす事件があったことも明かすと「犯罪のコミュニティにもなりやすい」と危険性も指摘した。