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まず、菜の花とは何をさすのか。これは、日本古来から栽培されてきたアブラナを指す。菜の花に似ている花、「菜花」には大きく分けて、3種類ある。アブラナ、セイヨウカラシナ、花菜つまり、かぶらや、チンゲンサイの野菜の花である。いずれも十字架植物である。




教室には、顕微鏡を置いておこう。すぐに花粉が見れる。ルーペもたくさん置いておきたい。できたら、子どもの数だけ。ただし、結構な値段になってしまう。(私の教室の場合は、25倍のルーペを13個置いてある。壊れたりして数が減ってしまった。25倍のルーペは昔は子どもたち一人一人に持たせていた。今では製造中止で5倍のルーペでもよく見える。) 




花粉を見ると子どもたちは歓喜する。理科や生活科、総合学習や自由帳のノートにスケッチをする。短い観察文も付け加える。種のでき方を観察しながら、アブラナの種を潰してみる。「先生、なんか汁がでてきたよ」と子どもたち。
「なんだろう」と返して、さらにたくさんの種を潰す。
「先生、油みたい。」
「わかった。だから油菜なんだ」
ここで、油粕を見せる。
朝顔を植えたときや大根を育てたときに入れた肥料だ」と子どもたちは気づく。
明治の初め、江戸時代、それより昔には今のように電気がなかったことを話す。できれば、行灯や燭台の本物を見せてやればいい。黒板に絵を描いたり、図鑑を見せてもよい。
本物がなければ、簡単に作ればおもしろい。陶器の皿に灯心を買ってきて、細い木を組み立てて、障子紙を貼ると行灯になる。昔の明かりの勉強なら、ろうそく立てに和ろうそくを買ってくる。さらにろうそくを作るなら、ハゼの木の実から作る。ただし、ハゼの木はウルシに似ているから注意が必要である。




 赤い和ろうそくに火を灯して、小川未明の童話「赤いろうそく」を読むといい。
私は修学旅行の夜、子どもたちを一つの部屋に集めて、小泉八雲の「怪談」を読んだことがある。ろうそくの光がゆらゆらゆれて、子どもたちはあの恐ろしく気味の悪い夜の墓場の世界に入っていく。




子どもたちは各自の部屋で、枕投げがしたくてたまらない。男の子と女の子とがとても仲良かったので子どもたちは大部屋に集まって枕投げの計画を立てていた。ところが、同じ学年に怖い先生がいて、何度も見回るという。そこで、私は知恵をさずけた。見張り番を立てて、その先生が回ってきたらさっとふとんに入るのだと。そういう先生はたいていが酒好きで、「まあ、子どもたちはしばらくは寝ないから、みまわりも後にしましょう」となだめるのだが、ゆっくり酒が飲みたいのか、とにかくなかなか寝ない子どもたちを叱りに回るのだ。