プロフィール

井出良一(いでりょういち)

1945年7月29日生。
高槻市立土室小学校教諭　(小学三年生担任　2008年度)
2006.4～　大阪大学非常勤講師　(教育方法学)
2007.4～2008.3　薫英女子短期大学で「教師論」「教育実習論」「図画工作論」

●「読売教育賞」受賞
●梶山寿子著「スクール・アーティスト、井出良一先生、たったひとりの教育改革」（文藝春秋刊）が6月24日に発売
●ドキュメンタリー映画撮影中
●新しい公立学校(チャーター・スクール)をめざす「イーハトーボ･　スクール」主宰　
●「学力・創造力を育てる研究会」「教室･保育室の文化を創る会」主宰（現在、休会中）
●メディアのコメンテーター、各地への講演活動などでも活躍中

ブログ「イーハトーボblog」

薫英女子短期大学非常勤講師　(絵画工作論・教育実習論・教師論〈2007年度予定〉)
大阪大学非常勤講師　(教育方法学〈2007年度予定〉)

単著
・『イーハトーボ小学校の春』（一ツ橋書房刊）
・『イーハトーボ小学校の総合学習』（一ツ橋書房刊）

共著
・『私たちの音楽教育』（一ツ橋書房刊）
・『一年生大研究』(子どもの未来社刊)
・『子ども・歌・ぼくらの授業』（一ツ橋書房刊）
・『そのとき歌が生まれる』（一ツ橋書房刊）
・『体力・情操・知育』（労働旬報社刊）

雑誌
・「太陽に向かって勢揃いする子らに」(教育・国土社)　　1974年10月号　
・「集会に使える曲リスト」(子どもと教育・あゆみ出版) 1988年3月号
・「ありんこになってリズム表現」(同) 1991年6月号
・「イーハトーボ分教場から」(同)　1993年4月～1994年3月連載
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その他多数

イーハトーボ教育研究所設立

基礎学力と創造力を育てる授業を発信するために「イーハトーボ教育研究所」を1998年設立。学力には読み書き計算力重視でも創造力重視でも駄目で、両方が車の両輪のように必要なものであると考え、４０年間、授業を貫いてきた。
　さらに、基礎学力は読み書き計算だけでなく、感性と知的好奇心が含まれて初めて基礎学力と言えると考えている。
世の中（教育学者、メディア、評論家）の「詰め込み教育批判」「受験戦争批判」を受けて中曽根教育臨調以来、「ゆとり教育」へと文部省は舵を切った。しかし、2002年の教育改訂に向けて、「ゆとり教育批判」が世の中（数理系大学教員、メディア、評論家）から吹き出し、｢100マス計算｣などに代表される読み書き計算能力への改革を文部科学省に迫ることになる。
　文部科学省も「学力低下」批判に応える形で、全国学力テストを施行した。学力テストは全国一律全員（小学6年、中学3年）規模で行われた。
　しかし、メディアを初め、多くの評論家、コメンテーターは、2002年度教育改訂でのミニマム・リクワイアメントに触れることはなく、基礎学力についても、ただ、ＯＥＣＤ・学習到達度調査（ＰＩＳＡ）の順位が落ちたことを「学力低下」だとした。これは大きな誤りであり、世の中の親、学校は大きく振り回されることになる。文部科学省は、果たして、「2002年度教育改訂」の方針である｢生きる力｣を捨てたのだろうか。メディアは、文部科学省の方針転換だとして報道を繰り返した。文部科学大臣が「学力低下」のコメントを発し続けた。これらのことについてもイーハトーボ教育研究所は、その都度、正確に発信してきた。
　「知的好奇心」「読み書き計算力」「創造力」「意欲関心」「理解力」「想像力」「思考力」「知識力」「判断力」「決断力」「自立心」「選択力」「コミュニュケーション力」を育てる授業こそ大切だと考えている。
また、現在の教育や学校、授業を改革していくためには、教育システムを改革していかねばならないと考えている。その一つの方法として、チャーター・スクール（公設民営の公立学校）の設立を願っている。

☆ドキュメンタリー映画撮影中
　戦後の教育をドキュメンタリーとして残す映画が撮影され、その最後の章として「教育の希望」を表現するために、私の授業をドキュメンタリー映画として撮影する要請がきて、現在撮影中である。監督は、2002年度？にキネマ旬報や文部科学省、文化庁など多くのドキュメンタリー映画賞を総なめにした『夜間中学』を創った森康行氏。NHKでも「知るを楽しむ」（歩き方をさがす）として報道されている。森康行監督によって現在撮影中である。

ドキュメンタリー映画｢こんばんは」森康行監督

ドキュメンタリー映画｢こんばんは」森康行監督
平成15年度　第１回文化庁映画賞　文化記録映画大賞
2003年度　キネマ旬報ベストテン　文化映画第１位
第５回　毎日映画コンクール　記録文化映画賞長編部門受賞
2003年度　日本映画ペンクラブ小　日本映画ノン・シアトリカル部門第１位
第９回　平和・協同ジャーナリスト基金　奨励賞
ＪＰＰＡ　ＡＷＡＲＤＳ　２００４　ブログラムⅡ　部門　シルバー賞

学校はおもしろいところです
学校は何でもおしえてもらえるところです
学校はちょっぴりつかれるところです
学校は先生が親切です
学校は一番いいところです
学校が夢があるところです
学校は宝物があるところです
学校は勇気づけられるところです
学校は私たちのふるさとになるところです

平成15年度　第１回文化庁映画賞　文化記録映画大賞
2003年度　キネマ旬報ベストテン　文化映画第１位
第５回　毎日映画コンクール　記録文化映画賞長編部門受賞
2003年度　日本映画ペンクラブ小　日本映画ノン・シアトリカル部門第１位
第９回　平和・協同ジャーナリスト基金　奨励賞
ＪＰＰＡ　ＡＷＡＲＤＳ　２００４　ブログラムⅡ　部門　シルバー賞

イーハトーボ教育研究所の活動内容

新しい公立学校(チャーター・スクール)をめざす「イーハトーボ･スクール」主宰1998年開校月1回・小学生(子供35～55人、時には幼稚園、中学生含む)と保護者が参加
文学、科学、音楽、歴史、料理、日本文化、年中行事などあらゆるジャンルの学習を行っている。親子で知的好奇心を育てる時間を共有するためでもある。
４０年間培ってきた教育、授業の方法や方向、考え方で公立学校を設立したいと願っている。

☆教育改革の一つとして
「チャーター・スクール」とは何か。「チャーター」とは英国で、冒険家に与えられた許可書である。公設民営の学校である。予算は、公立学校と同じで行政が負担し、運営を市民が教員とともに行うもので、教育委員会のしばりや教育法規に左右されない独立した教育が行える。（もちろん公共の福祉に違反する内容は許可されない）
　クリントン大統領就任の時には、たった一つだったチャーター・スクールが、共和党、民主党のいずれも推進したために、今では、3300校以上になって、アメリカの学校を立て直した。
　日本の公立学校は、世界の中でも特筆すべき教育システムであり、その教育レベルも群を抜いてきたと私は認識している。しかし、大きな社会変動により、その教育システムにも金属疲労が現れ、新しい時代にそぐわなくなってきた。　どこを切っても同じ金太郎飴である以上、これからの教育としては、効果も薄く、世界の国々とも太刀打ちできなくなっていくのではないかと思われる。
さらに、学校の現状は、まさにお役所仕事である。前例がなければ、認められない。
　意欲ある実践に対しては、いかに圧力をかけて潰していくか、「みんなで手を携えて」「学校、学年が一致して」というかけ声で、意欲ある授業を「よけいなことをする」「かってなことをする」と非難し、なんとか潰そうとしてきたし、少なくとも無視してきた。それが、今の学校の現実である。このような現状で特色ある学校をつくるなどということは、無理なのだ。
　「特色ある学校」「地域に開かれた学校」をめざした結果、せいぜい地域やＰＴＡのイベント参加というどの学校も同じような結果に終わっているのが現状である。
　このような学校では、今、学校に起きているさまざまな問題、課題（「学級崩壊」「不登校」「いじめ」「学習意欲の減少」「教員の意欲の減少と能力の不足」「隠蔽体質」「結果責任をとらない」）も解決していけないだろうと考えている。教育改革が言われて久しいが、現場である学校は依然として変わらないどころか、ますます学校としての力を失いつつある。管理が進み、評価システムが機能せず、校長だけの評価により物言わぬ教員が増えつつある。
　進まない教育改革の起爆剤として、アメリカで効果を上げているチャーター・スクールを日本にもつくることが教育改革を早める一つの手段だと考えて「イーハトーボ・スクール」を開校している。私の主張は、あくまでも起爆剤としてであり、すべてがチャーター・スクールである必要はない。日本全体の学校を改革するには、至難の業であるが、地域に一つの典型を創れば、きっと影響力も大きいだろうと考える。
　安部内閣で提唱されたバウチャー・スクールは、子ども一人に掛かる費用（現在の日本では一人当たり70万～90万）を補助する学校であって、これは、私学優先になる。これでは、ますます、公立学校は疲弊していくだろう。アメリカでもこのシステムは宗教との関連もあって、評価されていない。それに対してチャーター・スクールは、公立学校であり、現在の法律で縛られずに、教育委員会の束縛にも影響を受けずに学校を運営できるために、より有効な公立学校の改革であると思われる。東京都の学校選択制によってもたらされた小規模校の廃校、選択するにも、ただ、大きい学校であるということだけでの選択枝になって、特色ある学校作りにはならなかった現状を考えると、チャーター・スクールの推進が望まれる。
　小泉改革による教育特区の考えをもう一歩前へ進めて、企業、地方行政だけでなく、ＮＰＯによる公立学校設立へ門戸を開くべきである。また、アメリカと同様に普通の公立学校とチャーター・スクールの間での教員の行き来も自由であるようにすべきである。
　特色ある学校を創れと言っても、その条件さえ整えられない、さらに教育委員会の縛りでがんじがらめの現在の学校システムでは、公立学校の教育改革は不可能であると私は考える。

☆「不登校」の子どもたちと「いじめ」を受けている子どもたちのために
　現在も不登校は増え続けている。学校に行けない子どもたちに、楽しい学習の機会を少しでもあればと考えている。また、いじめによる自殺が連鎖的に起こる現状を見ても、子どもたちが駆け込み寺的に逃げ出せる場所の提供が緊急に必要であると考える。現在のフリースクールだけでは、子どもたちは逃げ出せない。親もフリースクールへの脱出には二の足を踏むだろう。そういう時に市民と教員によるチャーター・スクールがあれば、救われる子どもも多いと考える。

☆子育てサポート
　学校休業日である土曜日に親子ふれ合いの場を作り、子育てをサポートするため。子育てを習い事や塾に外注するのではなく、親が子どもといっしょに過ごす時間のヒントを得られる場所でもある。

☆文化の伝達のために
　子どもたちを育てるには世界の文化、日本の文化を子どもたちに伝達することであると考え、体験学習授業を中心に「イーハトーボ・スクール」を運営している。特に、日本の文化が親から子へと伝わらなくなった現代において、日本文化のすばらしさを子どもたちに伝達していきたいと考えている。
　世界の人々とそれぞれの文化で相手を理解し、ともに暮らせる、戦争のない世界を創り出す努力をしていきたいと考えている。また、科学嫌いの子どもが増えたという調査結果もあり、科学に対する興味関心を高める授業が大切である。

「イーハトーボ・スクール」の授業内容
　学習の方法の一つとして体験学習が大切であると考えている。文部科学省の方針により、2002年度から総合学習がカリキュラムに取り入れられた。私がこの４０年間に実践してきた授業の一部の方法と同じである。
　しかし、現場の学校では、総合学習の週３時間を使い切れなかった。子どもたちが興味関心をもつ総合学習が出来なかったと言っていいだろう。文部科学省が考えたほど、現場の教員たちには、授業力がなかったということだ。
　文部科学省が提唱した総合学習には、これからの日本を背負っていく子どもたちの学習の無限の可能性さえ含んでいるはずなのに、学力低下の非難によって縮小された。ＯＥＣＤ・学習到達度調査（ＰＩＳＡ）の調査にも現れているように、「考える力」の不足こそ問題にするべきではないのだろうか。
「イーハトーボ・スクール」でこの９年間に取り組んできた授業内容は以下のものである。
陶芸、歴史、歌、音読、押し花、造形、工芸、木工、世界の料理・地理、文学、人形劇、マリオネット、岩石・鉱物・化石、蚕の総合学習、宇宙の授業、紙漉、農作業、お茶会、英会話などを親子で学ぶ。年度の途中からの参加も可（サイト内の「イーハトーボ・スクール」のページ、およびブログ参照）

リンク：イーハトーボスクールＨＰ

「学力・創造力を育てる研究会」「教室･保育室の文化を創る会」主宰

1998年度より保育士、小、中学校、高校の教員参加で研究会を開催。さまざまな分野の講師を招き、教室、保育室に文化を育てることが子どもたちを豊かに育てることになると確信して、より深い授業の研究と教員自身が豊かになるために研究会を開催している。（現在は休会している）
（内容についてはサイト内のページ、およびブログ参照）

メーリングリスト「インターネットによる先生の学校」

授業力を高めたいと願う先生たちとメーリングリストによる研究会。（会費あり）
保育士、小学校～高校の先生たち、大学の学生が参加

授業のためのイーハトーボ農場

山の中に授業のための農場を借りて耕す。子どもたちと鎌で草を刈り、耕し、種を蒔き、作物を収穫する。