賢治研究
「賢治研究」75号
新刊だより より


◆「イーハトーボ農学校の春」を思わず連想させる井出良一『イーハトーボ小学校の春』は山あいの分教所(高槻市磐手小学校川久保分校)に勤務する教師による教育実賎の書。これまでに発表された記録が集められ、一つの大きな主張にまで高められた。それはあの「ポラーノ広場をぼくらみんなでこさへよう」という賢治の願いの実現でもある。豊かな自然の息づく中で、ひとりひとりの子供の心をしっかりと感じ、自立と成長を願う教師がこのように存在しているかぎり、日本の教育にはまだ明るい希望がある。