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井出草平の研究室
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ひきこもりの調査(内閣府 2016)

調査におけるひきこもりの定義は前回の調査(内閣府 2010)と同様である。
有効回答数は2905人、ひきこもりは49人(1.69%)。総務省「人口推計」(2015 年)によれば、15~39 歳人口は 3,445 万人なので、広義のひきこもり の推計数は下記の計算より 54.1 万人となる。
この調査では「ひきこもり」という言葉は使われず、調査名も「若者の生活に関する調査」である。
ひきこもりは、問20で判断されている。問20は下記である。
Q20 ふだんどのくらい外出しますか。
1.仕事や学校で平日は毎日外出する
2.仕事や学校で週に3~4日外出する
3.遊び等で頻繁に外出する
4.人づきあいのためにときどき外出する
5.趣味の用事のときだけ外出する
6.近所のコンビニなどには出かける
7.自室からは出るが、家からは出ない
8.自室からほとんど出ない
5~8を選んだ者をひきこもりとしている。

調査結果

性別

男性 女性
ひきこもり群 63.3% 48.0%
一般群 48..0% 52.0%
ひきこもりの60%は男性で、女性より男性の方が多い。この傾向は過去の調査と同じである。

年齢

現在の年齢
年齢 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳
ひきこもり群 10.2% 24.5% 24.5% 20.4% 20.4%
一般群 18.1% 16.8% 17.2% 22.0% 25.8%
ほぼ50%が20代である。この調査は15-39歳を対象としているため、40以上のひきこもりについては明らかになっていない。

現在の状態になった年齢

15~24歳が65%を超える。思春期から青年期前期にかけてひきこもりになる者が多いようだ。

ひきこもり期間

問22は「現在の状態となってどのくらい経ちますか。」である。
7年以上が最も多かった。年代別にみると、高年齢ほどひきこもりが長期化していることが見て取れる。
ひきこもり期間

過去のひきこもり体験


質問27は「あなたは今までに6ヶ月以上連続して、以下のような状態になったことはありますか。」である
ふだんは 家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する 5.3%
ふだんは 家にいるが、 近所のコンビニなどには出かける 1.4%
自室からは 出るが、 家からは出ない 0.8%
自室からは 出るが、 家からは出ない 0.2%
Q27からは、過去のひきこもり過去経験が15~39歳のあいだで、265.2万人と推定される。
この質問は現在ひきこもり状態ではない人に対して行われたものである。従って、現在ひきこもり状態にある人(1.69%)と過去経験のある人(7.7%)を足すと、323.5万人となる。これは日本人の若者(15-39歳)の9.4%になり、およそ10人に1人はライフイベントとしてひきこもりを経験している。ひきこもりは日本では深刻で大きな社会問題であることがわかる。

ひきこもり状態になった年齢(ひきこもり経験群)

問28は「その状態になったのは、あなたが何歳の頃ですか。」である。
ひきこもり状態になった年齢

ひきこもりの期間(ひきこもり経験群)

問29は「その状態はどれくらい続きましたか。」である。
ひきこもりの期間
40%の人々は1年以内にひきこもりから抜け出し、70%は3年以内に抜け出している。ほとんどの者は数年でひきこもりから抜け出すことに成功している。しかし、15%は7年以上以上であり、一部の人々は長期化している。
この結果から、今ひきこもり状態になっている人々よりも、ひきこもり経験がある人の方が多いことが分かる。多くのひきこもりは3年以内に社会に戻るため、ひきこもり経験者の人数は7.9%と非常に大きい数になるのである。

調査方法

この調査は、『若者の生活に関する調査』という名称で2015年12月11日~ 12月23日に行われた。母集団は全国の満15 歳から満39 歳の者であり、サンプルは本人5,000 人と同居する成人家族であった。
参考文献:
内閣府,2011『若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)』(link)
内閣府,2016『若者の生活に関する調査報告書』(link)